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窓から見たパリ


私は、裏通りでうなだれていた。
この、どうしようもない状況をなんとかしなければならない、と言う事だけは理解しているのだが、いかんせんその方法が何一つ思いつかないのだ。
しかし、もう一人の自分は逃げ出そうとささやきかけてくる。
そうした方が楽なのかもしれない。
解決しようとすること自体が馬鹿げているのだから。
私は、ポケットからウイスキーの入った、小さな瓶を取り出して一口飲んだ。
鉄とアルコールのまじった不愉快な味が口に広がる。
喉の焼ける感覚が、私は生きていると実感させる。
どこで無くしたのか、靴が片方みつからない。
時計は、2時18分をさしたまま動かない、表面のガラスにはヒビが入っている。
私は、小さくため息をはくと、ゆっくりと立ち上がった。
背中に鈍い痛みが走る、唾を吐く、血がまじる。
ノロノロと路地裏から出ると、そこには眠らない街が広がる。
売春婦が声をかけてくる。
酔っ払いが、空を罵りながら踊る。
私は、キラキラ光る街の灯りを避けるように、自宅にたどり着いた。
ドアを開けると、窓辺で寝ていた猫が、片目だけ開けて私に話しかける。
「それで、これからどうするんだい?」
私は鼻で笑い、何も答えずにキッチンへ向かう。
蛇口をひねり、顔を洗う。
ピリピリと傷がしみる。
この季節の水は冷たい。
上着を脱ぎ、乱暴に顔を拭いて椅子に投げ捨てた。
窓を開けると、電飾されたエッフェル塔が静かにたたずんでいる。

って、どういう状況やねん!
ホントわけわからんわ、このおっさん。
はーい!
シャガールおじさんでーす。
え?前の話何って?
知らんよ。
何か書いてみたかっただけだもんw
ちょっとハードボイルドなヤツねw
そういう気分の時ってあるじゃない?
君はないか!?
まあ、いいや。
実はね、このシャガール、俺ね、色は抜群に好きだなーぐらいの人でした、えなと結婚するまではw
まあ、絵はあんま好きじゃなかったのよね。
でもね、えながねー好きなのよ。
俺、画集なんて一冊も持ってなかったからね、えなが好きでさー、へーって思って一緒にラブラブしながら、画集見てたらいつのまにか取り憑かれてたって感じよ。
ラブラブしながらね。
うふ、ごめんね。
で、よ!このシャガールの凄さはさ、まあ、はじめに俺が評価したとこは間違いないよね、色!
めちゃくちゃキレーだから!
ここにね、文句がある奴は、もういい。
ゴッホぐらいからやり直してくださいw
シャガールの色と、ゴッホの色は比べもんになんないのよ。
ゴッホの色はね、軽薄なん。全く深みがない。
ただ、パッションはあるよ!
今、話してるの色だからね!
シャガールの色は、全然違う、油絵の具独特の濁った深みが、ところどころで色を落ち着けてくれてるのよ。
赤とか黄色、青の原色使いながらさ、軽薄な感じにならないのはさ、他の部分の色がちゃんとカバーしてるのよ。
あ、ゴッホファンの皆さんが嫌な気分にならないようにフォローしますと、ゴッホはね、点描に近いアプローチをしてるの。
一色一色が混ざらない事で、絵の具の色の明度が落ちないのよ。
ゴッホはね、めちゃくちゃ研究熱心な理詰めの画家なのよ。まあ、それは、今度また。
とにかく、色の種類が違うのね。
でもね、色だけで見れば断然シャガール
これは間違いない。
多分、ナンバー5に入るよね色の魔術師ランキングw
ピカソがね、マティスあとなきシャガールだけが色とは何かを理解している、って言葉を残してるぐらいよ。
しかも、この二人、ほんと馬が合わなかったらしいよw
もうね、ケンカばっかしてたらしいw
かわいいよね。
お互い認めてるのに文句言っちゃうカップルねw
まあ、そんくらい画家たちがさコイツの色はすげえって思うレベルなんだけど、それだけじゃなかった!
これがね、俺は甘かった。
何もわかってなかったんだよ。
シャガールは色だけじゃなかったん。
まずね、キュビスム、フォービズム、象徴主義シュールレアリスムその全てが入ってんのよ。
キュビスム、形の解放。
フォービズム、色の解放。
象徴主義、想像の具現化。
シュールレアリスム、無意識の意味。
なあ、全部入ってるじゃん。
じゃあね、これ足し算したら描けるかっつーと無理なのよ。
そんなんで描けたら苦労しないよね。
さあ、この絵!
狂ってるでしょ!w
モチーフ見てみようか、エッフェル塔、猫、顔
が2つある人、街、窓、転がってるカップル、飛んでる人、椅子の上の花、ひっくり返った電車、窓の外の猫?ガラスに映った猫?これさ、どうしたらいい?
シンボリズムから読み解けるか、絶対無理ね。
たしかに、何らかのシンボルとして描いてるのかもしれないけど、多分画家の個人的な意味なんだよね。
だから、従来のシンボリズムの意味からは全く読み取れないのよ。
シャガールってね、別の次元なん。
読み取るとかじゃないのよ。
感じる絵画なの。
伝えるための工夫がないのね。
表現するための情熱しかないのよ。
そういう意味では、ゴッホと真逆で、実は情熱の画家ってのはシャガールのことなのだよ。
この画家がね、何を描いてるって人生そのものを描いてるんだよね。
そこがやっぱすごい!
愛の画家って言われるゆえんよ。
シャガールはさ、芸術を言語化出来た人なんだよね。
一枚一枚の絵が、画家そのものなんだよね。
感情なんだよ。
シャガールの魅力はさ、リズム感、ランダムに配置されてるモチーフの絶妙さ、二重肖像、浮遊感、色彩、とか上げたらきりがないんだけど、結局ね、魂だよね。
もうさ、語ることが馬鹿らしくなるん。
絵なんだよ。
本物。
わかりにくく言うとさ、手紙とメールよ。
え?わかんない?
じゃあさ、手紙書いてごらんよ、誰でもいいから、でね、返事が来た時にわかるよ。
シャガールって画家が。

そしてね、なんといってもよ!
この「窓から見たパリ」がさ、えなの窓シリーズの始まりなのよ。





かわいいでしょ。
俺、えなのこのシリーズ大好きなん。
もーねー、かわいいん。
俺には、絶対描けないんだよね、シャガールもえなの絵も。
好きなん。

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