artchango

芸術・絵画・アート・映画・ときどき俺のこと

夢 雪山と地蔵


雪山にいた。
猛烈な吹雪の中。
足が雪に埋もれて、うまく前に進めない。
指先は感覚が麻痺している。
何とかして、あそこに見えている山小屋に向かわなければ、俺はここで死ぬ。
山小屋は、数メートル先に見えている。
俺は、太ももに全チカラをかけ、一歩進む。
更にもう一歩。
ふと、右に気配を感じそちらを伺う。
ほんの数センチ目の前に、地蔵の頭があり、俺は後ろに仰け反った。
たった今まで、そんなものは無かったのに。
恐る恐る触ると、それはやはり冷たい石。
一体どこから現れたのか、不思議に思うが、今はそんなことはどうでもいい、とにかく山小屋に向かわなければ。
そう思い、また一歩進む。
吹雪はやみそうにない。
ほんの数メートルを、何十分もかけ、ようやく山小屋に辿り着いた。
ノックもせずに、乱暴にドアを開ける。
山小屋の中にギョッとする。
中には、数十体の地蔵が敷き詰められていたのだ。
俺は、一瞬怯んだが、あまりの寒さに怖さよりも肉体的苦痛をなんとかしなければ、と言う理性が打ち勝ち、迷わず中に足を踏み入れる。
奥には、囲炉裏にトロトロした火がついていた。
俺は、地蔵を避けながら、何とか囲炉裏の火にあたる。
心地よい暖かさが、身体をときほぐしていく。
意識がハッキリとしていくにつれ、この異常な光景に恐怖が湧き上がる。
なぜ、こんな大量の地蔵が・・・。
そして、この火は、一体誰がつけたのか?
地蔵?
いや、まさか。
ゆるりと揺れる火の光の中、ジワジワと恐怖が押し寄せる。
火のゆらめきが、地蔵の顔を照らし、まるで生きているかのような表情をうつしだす。
突然、ドアをノックする音が聞こえる。
俺は、体を硬直させる。
あたりは、シンと静まり返る。
息を殺し、ドアを見つめる。
再び、ドアをノックする音。
声は聞こえない。
地蔵達の視線が、自分に突き刺さる気がする。
再びノックの音が。
俺は、恐る恐るドアに近づき、耳をすます。
やはり、人の気配はしない。
しかし、もしかすると、誰かが助けを求めているのかもしれない、そう、さっきまでの自分のように。
俺は、恐れを振り切り、思い切りドアを開けた・・・。

ランキングに挑戦中、ポチっとお願い🤲
にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村